すきだよ、多分嫌い

黄昏ベランダ室外機
ダンボールとやわらかい
窓を開けても通っちゃいけないここから外は君の世界iPhoneケースについた傷さよならする人みんなJR機械音と人混み消えていくキャリーケースすれ違い話さない離さない笑い声目がすり抜ける耳の痛みギターケースの倒れる音 水の流れる音
うざいうざいうざい絶対嫌い多分すき



生ぬるい同情はうざい

生ぬるい同情勘違い君の好きな世界君が持ってる宝物あったかい中への優しさあの時間あの匂い1mmの空気美術館のチケット大人料金君と歩くよ30歩何処かにている六時間ぼんやり動き出す朝焼けとラジオのおと終わりが近づくゆっくりゆっくり今だけはすきになってあげる

才能がない

あの日買ったワンピース
あの日見つけたスニーカーハイヒール
絶版の本ととながれないCD
夜中10時の本屋さん
止まる時と動く時間
あの時寝た時間と起きた時間
選んだ場所と選んだ道
肩紐の長いリュックサック
クラッチのなくなったピンバッチ
忘れ去られたあの時の絵
あの日の薄い空気

切れる声はきこえない

君がみてたもの見せたもの
大事だった気がするのあの時もらった切符もぜんぶ
ねえ、知ってる
あしたなんてないんだよ
忘れたなんて言わせない
結び目のゆるい音
縛ったポンプのうずめき
空白の場所と空白の時間
ふざけんなよ、

ざまあみやがれ誰も助けてなんてくれないよ

夜が昼になって消えてくタクシー

すべて消えてゆく

鼓動を打ってたのなんて昔のことiPhoneのおと椅子のおと

そんなの嘘だよだったなんて嘘の塊

古いTシャツ切れそうなヘアゴム

目の前は幻

赤い目の前、喋らないペットボトル

いつかの写真挟まれるパッチワーク

だまる、だまるよ

多分知ってる、終わりがくるって